1994年、石川県生まれ。大学卒業後、大手紳士服企業に勤めながらデザインの専門学校に通い、2020年にフリーランスへ転向。デザインやディレクション、企画など、肩書きをさだめずに働いている。2020年にさだまらないオバケというプロジェクトを立ち上げ、死のリデザインをテーマに活動。2023年にグッドデザイン賞を受賞。
「THE 女の子」のものが嫌いだったことを明確に覚えているというみづきさん。その一方でモーニング娘さんやメゾピアノなど女児が好きだったものにもハマっていました。どのような幼少期だったのでしょうか。
幼少期の「振る舞う性」は男性よりですね。どのような幼少期を過ごされていましたか?
ミニーちゃんよりミッキー派でピンクがあまり好きではないけれど、モーニング。娘さんが好きな幼少期でした。ミニーちゃんとかフリフリとかピンクとか「THE 女の子」みたいなものは嫌だったというのは明確に覚えています。 あとはモーニング娘。さんやおジャ魔女どれみなどの女児向けアニメは好きだったんですが、ポケモンとかデジモンも好きで、今思うと「定まっていないな」と思います。
それは子供ながらに趣味嗜好の傾向が定まらないことに違和感を感じていたということなのでしょうか?例えば男兄弟がいらっしゃって、そちらのものを欲しがったとか?
兄弟構成は妹なので、そういうわけでもなかったです。何が原因かはわからないけど、女子なんだから女子向けのものを…と誘導されている感じが気に入らなかったのかもしれないですね。実際、いわゆる女の子っぽいものも男の子っぽいものも両方というか、好きなものは好きみたいな感じもあったと思いますし、「いやいや私だって男子向けのやつも好きですけど」って思っていたのかも。与えられるものに対して対抗したいという気持ちもあったと思います。
ご両親はどのような教育方針だったのでしょうか?
「お姉ちゃんらしく」というようなものはなく、むしろ妹のほうがしっかりしています。そう思うと親の育て方は「長女」とか「女の子」とかあまり意識していなかったのかな。抑圧とかも感じていなかったし、フラットに好き勝手に生きていました。 でも、「女性らしい」とかそういうものは周りから決められるなとは思います。女の子だからこういうのが好きでしょ?みたいなものが、アニメや漫画、雑誌、テレビとかで無意識に目に入ってくる感じがする。判断基準が「自分が好きだから」で選んだとしても無意識に刷り込まれている「女の子だからこれが好きでしょ」に結局コントロールされているのではないかと感じます。
幼稚園、保育園で女児向けアニメのごっこあそびなどそういったことはしていましたか?
モーニング娘。さんのごっこ遊びみたいなものはしてました!当時モーニング娘。さんの番組ですべり台にのってクイズに答えていくというものがあって、公園のすべり台でそれを真似した遊びをしていたり、踊ったりというそういう遊びをしていました。
好きなアーティストが居る場合、「歌が好き」、「かわいい」、「私もなりたい」など色々な「好き」の形があると思うのですが、みづきさんの場合はどうでしたか?
加入したいとかオーディションを受けたいとかそういうことは思っていなかったですね。可愛いということも好きの要素にはあったと思うけど、トークも面白いし歌も好きだし、「モーニング娘。」というそのもの自体が好きだったのかもしれないです。
他にも小学生のときは少年漫画、ゲームが好きだったり男の子っぽい嗜好だったんですが、服装はメゾピアノの服を着るのが好きでした。メゾピアノは結構フリフリ系でお嬢様っぽい系統のアパレルブランドなんですが、「メゾピアノ着てる私!いいでしょ!」というブランド服を着ている誇りみたいなのものも子どもながらに感じていました。
いわゆるゲームなどの男の子向けと言われる嗜好品も好きな気持は変わらず、女の子らしいものも好きになっていったということでしょうか?
同じくメゾピアノをよく着ている友達が何人かいて、メゾピアノ同盟みたいな感じで集まってました。女子っぽいものが好きだからというよりは子どもながらにメゾピアノのブランド力を感じていましたね。その一方でゲームや漫画など男の子っぽいものが好きな子とも仲が良かったんです。だからその子と話すときは少年漫画とかゲームの話をするけど、メゾピアノ仲間の友達たちと一緒にいるときは女の子らしい話題が多く、読んでいる雑誌の話をするなど話題を使い分けていました。
メゾピアノ仲間の女の子たちとはゲームの話は出来ないわけですよね?話が合わず、疲れたりしなかったのですか?
遊ぶメンバーが単に違う、という感じでした。女の子らしい会話をしたいときはメゾピアノ仲間の友達と、ゲームするメンバーはまた別の友達という感じで遊びによってメンバーが違う。 予定が空いている方と遊んでいるという感じで、無理していたとかいうわけではなくて両方どちらも好きでした。
中学生からおしゃれに目覚め趣味は一変。ギャル全盛期だったそう。服装が変わる中で振るまう性にも変化があったのか伺いました。
ただ小学校くらいまではどちらも楽しいという感じだったんですが、高学年くらいから「RANZUKI」や「POPTEEN」などの女性誌を読み始めるようになり、ギャルっぽいファッションに興味を持つようになりました。中学から性別で制服が分かれるし、女子の制服の中でどう着こなすかみたいになって。思春期になってからは、小学生の時に仲の良かった男子ともあまり遊ばなくなって、女子とショッピングしたりおしゃべりしたりしていました。
そのときはゲームや少年漫画などから完全に離れてしまったのでしょうか?
そうですね。マンガも売っちゃったし、ゲームもしなくなっていましたね。
大きくなっていくと趣味が増えて、視界がおしゃれなどの方向に向いたのかもしれないですね
それはあるかもしれないですね。部活が始まってから遊ぶ時間が減ったんです。友達と遊ぶ時間を作るってなると休みの日しかなくて。小学生のときは下校の流れで友達の家に集まったりしていましたが、この頃はちゃんと約束して友達と会うことが増えてきて。遊ぶ内容もサイゼリヤで喋ったり、カラオケしたり、プリクラを撮ったりというような感じになっていきました。
そして高校時代は女性の方に線が振れていきますね
そうですね。でも恋愛には全然興味がなくて…男子とは喋ってなかったですね。恋愛に興味がないことに焦りもなくて、そもそも男子と喋ることもないし、付き合いたいと思う人もいないから興味がわかなかった感じです。人の恋バナを聞くのは大好きで聞いていましたけどね。
例えば人の恋愛の話を聞いていて、そこで焦ったり、感化されたりはしなかったですか?
話を聞くのは面白いから聞いていたわけですが、好きな人もいないのにわざわざ彼氏を作るっていうのもおかしいかなって思っていたので特に気にしていなかったです。ちなみに見た目がギャルだからか、mixi上で他校の男子から連絡先交換とかメールしようみたいなコメントが来てたんです。写真を見て気になってくれたことには嬉しい気持ちはあったけど、あったこともないのに連絡取り合うモチベーションが湧かなかったですし、よく知らない人に興味持って連絡取り合うのも意味がわからなくて無視してました。
「モテたい」、「彼氏がほしい」、「付き合いたい」など、高校生だと興味が出やすい年頃かと思いますが、そうならなかったのには理由がありますか?
なんとなく興味はあったものの、周りの友達も似たような感じで「うちら彼氏できないよね〜」みたいな空気でいました。そこから抜ける子がいないからかな。あと吹奏楽部で活動してたし、忙しかったからですかね。そんな感じで特に恋愛とかに対して焦りとかはなかったです。
忙しいし、周りもいないし、「恋愛はいいか」という雰囲気だったんですね
そうですね。高校生までは彼氏いなくても大丈夫でしょって思っていました。ただ、高校の文化祭で、3年生のバンドをしてる先輩に憧れてキャーキャー言ったりしていたことはあったけど、付き合えるようにアピールとかはしていなかったです。
恋に恋するような感じだったのでしょうか?
付き合いたいというよりもアイドルに近いかもしれないですね。いいなという人がいなかったわけではないけど、付き合いたいとかまでは行かないみたいな感じでした。